感謝。そしてがんばるらいふぶろぐ(仮)

結婚式準備と新生活でのあれこれめも。

【好きなもの】万年筆に込めるストーリー

クローズド・ノート

この小説との出会いが、私の万年筆との出会いだった。映画化され、主演の沢尻エリカが万年筆への想いを聞かれて「別に」と答えたことで一時期話題になった映画だ。

私がこの本を読んで、その後で映画も見て、万年筆に大いに興味を持ったのは、ちょうど社会人になって3年目、教師になりたいという小さい頃からの夢を叶えるためにもう一回挑戦してみようかと考え出した頃だった。

この話の主人公は二人いる。一人は小学校の先生を目指す大学生で、文具店でアルバイトをしている女の子。そしてもう一人は、前述の女の子が住んでいるマンションに、以前に住んでいた女性。小学校の先生をしていて、子供たちの様子や、仕事で悩む自分の気持ちを万年筆で日記に記している。

教師を目指す自分にとって、それだけでもとても魅力的に思えるこのお話だけど、それ以上に引き込まれたのは、万年筆という魔法の道具だった。

主人公の女の子は、父親からプレゼントされた、「ドルチェビータ・ミニ」を愛用している。万年筆を使って勉強をしていると、ちょっと誇らしい気分になるのだそうだ。そして、この本の冒頭では、他にもたくさんの万年筆が魅力的な言葉で紹介される。どれも実在し、歴史ある名盤のものからカジュアルに手に取れるものまであるので、本を読んでいるとすぐさま文具店に駆け込んで実物を見たくなってしまう。

中でもはっとしたのは、アルバイト先の先輩の万年筆営業手法。どんどん一般的に見たら「高い!」と思うような万年筆を売りさばく先輩。彼女が万年筆を売るときは、お客さんと、これから手に入れるはずの万年筆との間に「ストーリー」を作ってあげるのだと言う。

作る人の並々ならぬ想いが込められている万年筆は、ペン先やインクの組み合わせで無限の拡がりを持つことができる。そこに、目の前の万年筆と自分とだけの唯一のストーリーが作られたら、その万年筆、買うしかない。

読後、私はいてもたってもいられなくなり文具店に走った。まずは、一番惹かれた「ドルチェビータ・ミニ」を探す。地中海のフレッシュオレンジジュースのような(??)鮮やかなオレンジにすぐ目がいった。本当に綺麗、そして元気が湧いてくる。

私は、これから教師になって、いつか一人前の教師になれた!と思える日が来たらこれを買おうと思って文具店を去った。

残念ながらまだドルチェビータ・ミニを買う日は訪れていない。これからも訪れることはないと思う。なぜなら、教師になることはできたけど、もう辞めてしまったから。

でも、最近ちょっとだけ良いことがあったので、久しぶりにまた文具店を訪れてみようかと思っている。自分だけのストーリーを探すために。そして、それをいつまでも書き記すために。