感謝。そしてがんばるらいふぶろぐ(仮)

結婚式準備と新生活でのあれこれめも。

【ドラマ感想】みんな嘘つき

何度も何度も何度も繰り返し聴いている、ドラマ・カルテットのエンディング。凄い迫力、圧倒的な美しさ。
楽器の四重奏と歌声の四重奏と、ピアノやその他色んなものが散りばめられて重なって絡み合う。信じられないくらい緻密な図形を描く雪の結晶を見ている時のような感覚に襲われる。全てが計算されているようで、聴けば聴くほど奥深くにまた音があって。ひとつひとつ分解してその構造を見てみたいけど、ひとつ何かが崩れたらきっと二度と元に戻らないのではと感じるほどの繊細さに恐ろしささえ感じてしまう。松さんの真っ直ぐだけどどこか艶のある声と、満島さんのかすれて消えそうなのに強く耳に残る声が混ざりあって頭の芯がぼうっとする。
先週TBSが1週間エンディングの映像をネット上で公開していた。その映像も、何度も何度も繰り返し見ていた。松田龍平が松さんを見つめる視線、満島さんがそっとこちらを見る視線にぞくぞくする。そうか、俳優さんは目で演じるのだ。
そして椎名林檎の作り出す楽曲の世界、1曲で物語が始まり終わったかのようなドラマチックな曲の構成とメロディーがすごい。たぶん今さらだけど、そんなに椎名林檎を知らなかったので。それでも詳しくない私が1話のエンディングをさわりだけ聴いたところで「これ、椎名林檎?」と聴いたくらいにはものすごい椎名林檎節だってことは分かる。椎名林檎とストリングスの相性も凄い。

1話は確か食後に食器でも洗いながら見ていた。そうすると必然的にあまり台詞が聞こえず、映像も淡々としているので全く訳の分からないドラマだったと感じた。エンディングで驚いて、それからエンディングを見るためのような形で2話3話と見ていったら、訳が分からないドラマが、何故か目が離せないドラマになった。注目している、という意味ではなく、1時間の中で文字どおり目が画面から離せなくなってしまう。
先程エンディングが緻密だと述べたが、ドラマの内容はもっと緻密だった。基本的にあまりイベントの起こらない、日常を描いただけのようなドラマなのに、4人がこれまでの人生で抱え込んできたたくさんの秘密が水面下で複雑に絡み合って、なんとなく、小説のようなドラマだな、と思っていた。
でも第5話の最後のあのシーンで、小説のようなんてとんでもない、と思い直した。言葉の応酬、台詞だけで色んな情景が描かれていくところは確かに小説っぽい。でも、それがどのタイミングで、どういう風に投げ掛ける、時に投げつけられるかであんなに恐ろしいシーンになるんだと思った。
吉岡里帆の演技が凄かった。もちろん主演の4人は、むしろ演技がどうかなんて考える隙も与えてくれない人達なので置いておくとして。有栖ちゃんの「まるで演技かのような」演技が凄くて恐ろしかった。
「みんな嘘つき」
人は、特に“まともな大人”は、みんな知ってること。当たり前のこと。みんな嘘をつく。演技をする。知ってるけど言わないこと。見て見ぬふりをすること。人はみんな皮を剥げば骸骨だって、みんな知ってる。知ってるのに、わざわざ皮を剥いで見せてくれたかのような、そんな恐ろしさがあった。ちょっとしたスプラッタのホラー映画よりもしかしたら怖いかもしれない、このドラマ。
そしてもうひとつ、このドラマで繰り返し言われることがある。大人はみんな知っているのに、見て見ぬふりをしていること。それは
「夢は叶わない」
ということ。
もちろん、ドラマ・カルテットの世界では、であることを願うけど。

5話で第1章が終わったという。これからどうなっていくのだろうか。考えるのは、恐ろしくて、面白い。