読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

感謝。そしてがんばるらいふぶろぐ(仮)

結婚式準備と新生活でのあれこれめも。

【ドラマ感想】「呪いから逃げなさい」―結婚1ヶ月生が逃げ恥を最終回を見た感想。

逃げるは恥だが役に立つ」。入籍を約1ヶ月後に控え、人生で初めて実家を出て旦那さんと一緒に暮らし始めた10月、1話で随分と話題になっていたドラマを、第2話から見始めた。

仕事で家事をやるために、ある男性と契約結婚をするという。結婚とは何か、専業主婦の対価とは何かについて考えさせられるドラマで、長い婚活を経ていざ新婚生活を始めようという自分にとってはとても興味を惹かれるものだった。何より新垣結衣がかわいくて、なんで私は男性で、新垣結衣を抱き締められる人生じゃないんだろうと思うくらいかわいくて、毎週真剣に見ていた。

入籍から約1ヶ月、とうとう最終回を迎えた。最後まで見終えたとき、これは結婚に関する話ではない、と気づいた。今、1クールに2つくらいは結婚なり婚活なりに関わる連続ドラマが必ず放映されるくらい世間を賑わしている「結婚」「婚活」というワードだが、そのワードを代表例として取り上げてはいるものの、もしかしてこれは、結婚に限らない、私たちの生き方そのものに大きなメッセージを与えるドラマだったんじゃないだろうかと思った。

最終回で百合ちゃんが言った。「呪いから逃げなさい」と。

そうだ、このドラマのタイトルは「逃げるは恥だが役に立つ」だった。「囚われない」という言葉が頭に浮かんだ。私たちは日々何かの既成概念、誰かの固定観念に囚われている。女性は男性より一歩下がるべき、結婚してはじめて一人前、年相応の生き方を、人は異性を好きになるのが普通、このドラマで言及されているところでいうと、たとえばそういったことだろうか。それはまるで呪いのように、繰り返し繰り返し、誰だかよく分からない者達によって唱えられ、私たちはその中で大人になっていく。

みくりは、高学歴でアイディアマン、高校生で子供を生んで学校で育てれば良い、なんていう突拍子もないけれど妙に理にかなっている考えをぽんぽん発信する。そのことで彼氏に振られ、就職も上手く行かず、派遣も切られたことによって自尊感情を激しく傷つけられている。

平匡の過去に何があったのかは詳しく語られないけれど、自尊感情が著しく低くなってしまった35歳独身童貞として、あらゆる人、特に女性に完全に心を閉ざしている。

最終回を経て改めて思い返すと、アラフィフで独身処女の美人な百合ちゃん、イケメンのレッテルを貼られる風見さん、ゲイの沼田さんなど、学歴、仕事、年齢、恋愛、結婚、外見、性…みくりと平匡の周りを見回せば実に色んな固定観念に縛られ、苦しんでいる人たちがこのドラマには散りばめられていたことがわかる。

「考え方を変えれば仕事ってこんなところにもあるんだ。」両親が住む田舎で自分と同じ年齢の議員のポスターを発見したみくりが思うことであるが、確かドラマ以上に原作では、みくりは色々な仕事の形について考えを巡らせていたと思う。ドラマでは青空市で成功を納めたみくりが、派遣のときに迷惑がられた自分の性格と才能を商店街の人に認めてもらえたことを喜ぶ場面がある。

あるところで認められなかったことも、違うところでは認められる。一つの固定観念に囚われて自尊感情を低めるくらいなら、そんなところからは逃げてしまえ。ただ、みくりはもう1つ大切なことをこのドラマでやっていた。平匡と固定観念に囚われずに向き合い、相手の心の扉を何度も何度もノックしたことだ。そのことで扉の向こうから救い出された平匡が、今度はみくりの心の扉を叩き返してくれたことでみくりは救われる。多様性の許容と救済。最初からこのドラマのメッセージはそこにあったのかな、と思った。

結婚と専業主婦の対価についてのドラマだと思っていた時、先週の最後に平匡のプロポーズに対してみくりが発した「好きの搾取」という言葉について、私はもやもやを感じずにはいられなかった。確かにそうなんだけど、理にかなっているような、かなっていないような。この問題提起に対して、一体どんな答えを出してこのドラマは帰着するんだろう…?そんなことを考えた1週間だった。

でも、もしかしたらこの言葉は、自尊感情が低く、正当な賃金によってしか自分が評価されていることを感じられなかったみくりが、認めてもらえないことに対する怯えからきた叫びだったのかな、と思った。

最後に平匡が出した結論は「何でも良くなった」だった。

そうだ、何でも良いのだ。答えは出せない。というより、答えはない。人によって違っていいし、同じ人が時によって考えを変えたって良い。その都度その都度考えていけば良いのだ。二人で。もしくは周りにいる人達と。

振り返って自分のことを考える。結構長い間、あらゆる種類の「婚活」をしてきた自分は、なぜ結婚したかったのか?答えるときは、子供が欲しかったから、子供を産むには年齢制限があるから。いつもそう言っていた。

だけど、結婚をしない女性は負け犬、そんな世間の固定観念に全く影響されなかったと言えば嘘になる。子供だってそう。もちろん産みたいけれど、仮に産まなかったら幸せじゃないのか?そうとは限らない。

でも、じゃあ、今結婚してどうか?と聞かれたら全力で良かった!と答える。だって今楽しいし幸せだから。だから結婚して良かった。

結婚1ヶ月生のペーペーが何を言ったところで、人生の先輩方からはこれから色んな苦労が待ち受けてるよと苦言を呈されてしまうかもしれないけれど。さらにそれに対抗して結婚して良かった理由も語ろうと思えば色々あるけど、それも明日には変わってるかもしれないし。10年後も1年後も1日後だって分からないけど、その時その時考えていけば良いのかな、なんて思っている。

「呪いから逃げなさい。」
百合ちゃんの言葉が、固まった身体に染み渡って解きほぐしていく。

良いドラマでした。